岡田拓朗

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬの岡田拓朗のレビュー・感想・評価

3.6
ちょっと笑いたい気分だったので、今作を選んで鑑賞。
まさにクドカン節が炸裂しているような作品。
「GO」、「ゆとりですがなにか」で、ハマったクドカンですが、好き嫌いがきっぱりわかれるのと、当たり外れは正直あるなーと思っていて、正直こちらは「どちらかというと」後者でした。

クドカンの自主制作はドラマの方が活きてくるような気がする。
今作もドラマにしたらもっと深くて、よりおもしろくなったんじゃないかなーと思った。
「監獄のお姫さま」みたいな感じで描けそうなイメージ。

クドカンは現実を描くと思いきや、擬似世界をおもしろおかしく描きながら、深く刺さらせてくる、メッセージ性の強い作品が多い印象だが、こちらはおもしろおかしさが強くて、メッセージ性はあまり感じられなかった。
だから少し物足りなさがあり、若干外れよりでしたが、コメディな展開と細かい笑い要素を入れ込んでくれていたので、笑いたかった願望は、見事に叶えてくれました。笑

刑事ゆがみのときもそうやったけど、神木隆之介のこのキャラがハマりすぎてて、個人的にはいつもツボらせてくれます。(もちろん褒めています!)
特に「畜生」で度々動物に変えられてその視点からひろ美(森川葵)を追っていくシーンはおもしろかったし、かなり笑った。
輪廻転生とかこつけて、こんな奇想天外なシーンや展開を盛り込んでいるのは、さすがのクドカンワールドで、おもしろい世界観だった。
それに神木隆之介が上手にハマる。

「監獄のお姫さま」では、監獄をクドカン色に染めて、監獄の世界にいる人たちを前向きに、おもしろおかしく、でも人間らしく、メッセージ性も交えて描いていたわけですが、今作はまさかの地獄がメイン舞台!笑

死後の世界なんてもちろん想像もつかないわけですし、実際に本当に天国と地獄があることすら不明な中で、クドカンなりの地獄の生活が描かれていて、相変わらず発想力豊かだなーと思いながら鑑賞していました。

個人的には(ロック音楽好きなので)、ロック音楽と地獄を結びつけていて、その界隈で有名な人たちがちらっと出ていたり、向井秀徳が劇中歌の作曲をしていたりと、その辺りのわくわく感もあり、別の意味でも楽しめた。
ジミヘンの利き手勘違いは凡ミス過ぎるやろ!、とツッコミ入れたくなったけど。笑

天国に行く人と地獄に行く人については、関大助(神木隆之介)が大きな罪は犯していないのに、地獄に行ってしまった理由として、小さくても人に迷惑をかける行為をし続けていたということと自殺であったと判断されたからというのは、クドカンなりのメッセージ性を若干感じたが、これはあえてその設定にしたかどうかはよくわからない。
しかも、自殺が地獄の中でも、一番重い罪であるという設定は、自殺に対しての彼なりの思い入れがあるのかなと思った。
この辺をもう少し深く知るという意味でも、やはりドラマくらいの長さが欲しかったなという印象。

終始コメディチックに進んでいくかと思いきや、ラストで少し感動できる展開へ。
平穏すぎて全てが整っている天国がおもしろくなく感じることで、地獄に戻る大助に、整ってはいなくとも変化があることのおもしろさを問うていたように思えたし、最後のチャンスでハッピーエンドになったのはよかった。

キャストにおいては、神木隆之介、長瀬智也、桐谷健太、古田新太は最高にハマり役だなと思ったし、清野菜名の豹変ぶりにかなり驚いたし(実際に本当かとキャスト調べ直したりもしました笑)、何と言っても森川葵と尾野真千子の両ヒロインが可愛すぎた。

細かい点ですが、ギタリストのChar、野村義男、ベーシストの清、ドラマーのシシドカフカが出ていたのが痺れる。
こういう小さいこだわりが好きです。笑

最後に、ドラマ化希望!!
でもこれね、おもしろくない人にとっては、全くおもしろくないと思います。笑
岡田拓朗

岡田拓朗