ノラネコの呑んで観るシネマ

人生タクシーのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

人生タクシー(2015年製作の映画)
4.5
パナヒ流モキュメンタリー。
作者本人がタクシードライバーに扮し、乗り込んでくる様々な客たちを通して現代イラン社会を風刺する。
冒頭の自称路上強盗と教師の死刑論争から、非常に綿密に構成されている。
リアルタイムで進行する82分。
イランのタクシー事情ってほぼ乗り合い自動車で、客が乗ってても後からどんどん乗ってきちゃうし、方向が合わないとドライバーも「降りて」と言っちゃうのが凄い。
貸切にも出来るみたいだが。
おかしな客たちの中でも、(ホンモノか分からんが)パナヒの姪のハナちゃんのキャラクターが強烈。
まさに口から生まれてきた様な女の子で、彼女が学校の課題で撮っている短編映画に関する疑問がこの映画のテーマ。
一人一人の客たちのエピソードが、最終的にハナちゃんの率直な言葉に集約される仕組みなんだな。
やはりかなり政治的な映画で、テーマ的には重いのだけど、これはユーモラスな群像劇としても秀逸で、とても面白い。
ブログ記事:
http://noraneko22.blog29.fc2.com/blog-entry-1008.html