HidekiAndo

人生タクシーのHidekiAndoのレビュー・感想・評価

人生タクシー(2015年製作の映画)
4.2
少々ネタバレ感はありますが、知ってから観るのもアリだし、自分のように観てから知るのも、どちらでもアリだなと思い、敢えて隠さず。
何の情報も入れたくない方は、読まないで下さい。




このバラを すべての映画人へ
映画に関わる人たちは 信頼できるから


映画監督ジャファール・パナヒが運転するタクシーに乗って来る、様々な人。
路上強盗
女教師
宅配ビデオ屋の店員
交通事故の怪我人
金魚を抱えた女性2人
映画を撮る姪っ子
同郷の古い友人
ゴミ箱を漁る少年
バラを抱えた女性
彼らがパナヒに語りかける『現実』とは?!


徐々にパナヒ監督の現状は、うっすら理解出来つつも、観終わって『ふーん。思ってた感じの映画じゃなかったなぁ』となり、ちょこっとこの映画について調べてみて、『なーーーるーーーほーーーどーー!』と感心し、グッときました。

イランという国への痛烈な批判が込められていたんですね。
盗みが横行し、イスラム教をねじ曲げて解釈し、妻に遺産が相続できず、国外の映画が観れない国。
映画(表現)は不当な検閲を受け、『リアリズム=俗悪』とみなされ、常に監視され続ける国民…。

バラを抱えた女性をはじめとした、乗って来た全ての人達の言葉は、監督自身が訴える現状であり、全世界の映画に携わる、映画を愛する人達へのエールなんですね。
改めて、『ある程度自由にチョイス出来る己の現状』に感謝出来ます😁。

2030年まで映画を撮る事を禁じられたパナヒ監督の、『映画への愛』が詰まった作品でした。
バラは無口でも、その美しさを雄弁に語ります。
HidekiAndo

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