アキラナウェイ

さらば冬のかもめのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)
3.6
インパクト強めのジャケ写が気になっていた、ジャック・ニコルソン主演作。なんで裸なのよ、水平さんよ。

募金箱から僅か40ドルを盗もうとした罪で懲役8年を言い渡されたメドウズ(ランディ・クエイド)という男。彼をポーツマス海軍刑務所に護送する任務に就いたノーフォーク基地に勤務する海軍下士官バダスキー(ジャック・ニコルソン)とマルホール(オーティス・ヤング)。

最初は適当に任務をこなすつもりだったバダスキーだったが、徐々にメドウズに同情の念を抱くように—— 。

経費は多めにもらっているからと、寄り道するわ贅沢するわの、男3人による珍道中。

ビールめっちゃ飲むやん!!

喧嘩っ早くて男気溢れるバダスキー。ジャック・ニコルソンのアクの強い風貌がまさにピッタリ。

マルホールを演じたオーティス・ヤングという方は、出演作も少ないし、有名なのは本作ぐらいかな?黒人である彼とバダスキーとの凸凹バディ感も楽しい。

そしてそして、メドウズを演じるは、若き日のランディ・クエイドじゃないかー!!30年にわたり90本以上の作品に出演した彼が、まだ3年目ぐらいのキャリアの頃。図体はデカいけど、まだ無垢な感じが残る青年を好演。

街に繰り出し、酒を飲んでは喧嘩をしたり、売春宿でメドウズの"筆下ろし"に一役買ったり。

日蓮正宗の伝道所を覗いて、「ナンミョーホーレンゲーキョ」を唱和の魅力に取り憑かれるメドウズとか、かなり笑った。

ゆるゆるな雰囲気で展開するロードムービー。最後の手旗信号の伏線回収も絶妙な可笑しさ。

護送兵と囚人が織りなす不思議な友情の、その果ては——?

1974年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝きながらも、アカデミー賞は3部門でノミネート止まり。「私はカンヌ映画祭が評価してくれた事を、なぜ故郷のアカデミーがしなかったのか不思議でならない。この映画は最高の出来だった。」とジャック・ニコルソンは語る。

何が起きるでもないから派手さには欠けるけど、ナンミョーホーレンゲーキョと最後の手旗信号のシュールな絵面だけはきっと何年経っても忘れない。