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母の残像のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

母の残像(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

母親が急逝し、残された父子の話。

母親の死をそれぞれに消化しきれない、3人の男達。
「人生を前に進める事が出来ない」というテーマは『わたしは最悪。』とも共通するところで、ヨアキム・トリアー監督の作家性の一つなのでしょう。

ただ、1人のキャラクターを追っていく『わたしは最悪。』とは違い、本作は父親・長男・次男のそれぞれの物語が描かれます。
群像劇な作りにした事によって、3人が抱える悩みや問題が描かれるのは良いのですが、その分、話が散漫になってしまい、この家族の何が問題なのか?一体、何を言いたい作品なのか?という部分が分かり難い印象を受けました。

所々で回想シーンを織り交ぜていく構成も面白いとは思うものの、話が余計に複雑になってしまった気もしますし、母親の戦場カメラマンという特殊な職業も微妙に共感を阻むところ。
母親の苦悩は分かりますが、自分で戦場カメラマンという仕事を選んでおいて、後からゴチャゴチャ言うのは覚悟が足りないし、自業自得としか思えない部分もありました。

父親と長男に関しては、ある程度、母親の死を受け入れてるのだから、思い切って次男の話にフォーカスを絞っても良かった気もするんですけどね。
実際、次男の書く文章は面白かったし、興味深いキャラクターだったと思うのですが…。
もしかしたら、その辺の不満を踏まえて作れられたのが『わたしは最悪。』だったのかもしれません。
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