スギノイチ

太平洋の地獄のスギノイチのレビュー・感想・評価

太平洋の地獄(1968年製作の映画)
3.5
映画の大半はこの2人の小競り合いだ。煮汁ができそうなくらい男臭い。
水やら生貝やらを醜く取り合う日々。言葉も通じないので、罵倒ですら何を言っているかわからない。
『キャスト・アウェイ』のトムハンクスはやたら友達を欲しがっていたが、下手に人がいるとこうなるのだ。
それでも、2人のやりとりにも徐々に茶目っ気が混じってきて、力試しや知恵比べの雰囲気すら出て来る。
(アメリカ映画なのにリー・マービンの方が若干姑息・傲慢気味に描かれていたのが意外だ)
やがて酒を酌み交わし、母国の歌を歌い合い、刃物を入手しても呑気に髭を剃り合うまでになる。

このまま仲良しこよしで終わってしまったら、記憶にも残らない映画になっていたと思う。
最後の最後の展開が、この映画を単なるアイデア映画にしていない。
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