きまぐれ熊

アクアマンのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

アクアマン(2018年製作の映画)
3.8
ピンで観れる路線に変更してから、DCEUは本当に化けたんだなって事が実感できる映画だった。

要素はとにかく欲張りハッピーセットなのに破綻せずにエンタメ大作として完璧に畳み切ってるのはすごい。

この映画、2時間半近くある。
観る前は何をそんなにやるんだよって思ってたけど、観たら一瞬だった。
ぶち込んだ素材の量を考えるとこの長さになるのも当然で、かつ全く長く感じなかった。

ただし、ヒーロー映画だと思って観ると若干面食らうかな。
MCUで言えばソー・ラグナロクの特盛感に近いイメージ。
ジャンルなんだけど、ヒーロー映画というには他の要素の比重が強い。
主に家族愛と冒険の要素がメインで、結果的にヒーロー映画になったって感じ。実際、人類を救うのは別に重要じゃない。
どちらかといえば海洋アドベンチャー映画と言った形容の方がしっくりくる。
インディージョーンズとか映像版アンチャーテッドを観る気分で鑑賞すればブレずについていけると思う。

ヒロインのメラは赤髪が似合う意志の強い女性でめっちゃ美形。とにかく強く美しい。
アクアマンことアーサーは「誇り高き海の戦士」みたいなのを勝手に想像してたんだけど、実際は適度に緩くてワイルドな魅力のある気の良いニイちゃんって感じ。脳筋でありながら考古学に造詣があったりして人間として非常にチャーミングな主人公。

そんな2人が劇中どんどこロケーションを移しながらトライデントを探す旅が展開されるので見た目に飽きない。ヴィラン(というかボスキャラ?)もめっちゃ多い。しかもみんないいキャラ。

キャラクターの愛憎劇としても綺麗にまとまってるし、冒険ものとしてもカタルシスが詰まってるし、ヒーローものとしても熱い展開が用意されている。
よくこんなにごった煮要素をぶち込んでスッキリ綺麗にまとめ上げたな〜。映像美もあるんだけど、シナリオの完成度がこの映画のもっとも大きな美点だと思う。

アトランティスの兵士のトロンみたいなサイバー鎧に対して王族の着る中世的甲冑に文化的連続性を一切感じないとか、
困ったら爆発で場面展開するという謎のワンパターンプロットだったりとか、
細かいディティールに目を向けるとツッコミどころが結構目につくので、
この映画を楽しみたいなら小さな部分は流して大筋に身を任せて楽しむのがお勧めの鑑賞方法。
DC入門者にはとりあえずシャザムかこのアクアマンを勧めるわ。

それにしてもなんでアホみたいにワンパターンな爆発で場面転換するんやろ〜。
子供にも展開がわかりやすいようにって配慮なのかな?
このシナリオの手腕を持つスタッフなら幾らでもワンパターンを回避できそうなので純粋に疑問だわ。
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