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アクアマンのdojiのレビュー・感想・評価

アクアマン(2018年製作の映画)
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タイトルが出てから画面を覆う船体、その後マスク姿の大群に制圧される船、このオープニングシークエンスからも、前評判で聞いていた"海版スター・ウォーズ"感満載で、ふむふむと思って観ていると、登場するマスクやアーマー、衣装、ガジェット、クリーチャーのすべてが新鮮で、徐々に気持ちが盛り上がっていくのを感じる。そのピークとしてアーサーがアトランティスに訪れるシーンを配置していて、とにかくその街の造形が美しいの一言。そこから全編に渡って、美しく斬新なプロダクションデザインにこころを奪われっぱなしだった。

とにかく観たことがないものを観客にみせてやろうというスタッフの気概を感じっぱなしで、スター・ウォーズはもちろんのことインディアナ・ジョーンズ的な展開もあればジュラシック・パークのような画も飛び出してくるのでとにかく眼が楽しい。カラッと晴れたイタリアのロケーションでのアクションシーンはこれまでのDC映画にない爽快さで、アーサーのキャラクターと相まってとにかく楽しくてしょうがない。ことあるごとに爆破で笑いをとるところもなんとまあ愉快。

ストーリーに関してはもうシンプルにならざるをえないというかすぱーんとクライマックスまで駆け抜けるので、ドラマ的な要素はニコール・キッドマン、ウィレム・デフォーらの平常運転の顔の演技で強引に深みを出していく。その清々しさったらない。本家スター・ウォーズが外しにかかったせいで苦い思いした身からすると、いまのエンターテイメントは王道こそちからがあるなあと思う。

唯一不満なのは音楽。突然デペッシュ・モードが流れたりと楽しいといえば楽しいだけれど、『アクアマン』としてのメインテーマを印象に残るかたちで作って欲しかった。なんとも全体的にサウンドとしては散漫な印象で、冒頭のシガーロスもなんだか合ってるんだか合ってないんだかという感じだし、ミックステープ的にやるとしてもジェームズ・ガンみたいなセンスはないだろうなと思ってしまった。スペースオペラならぬシーオペラとしてのポテンシャルはあると思うので、かっこいいテーマ曲があればいいと思うんだけどなあ。
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