ピートロ

オーバー・フェンスのピートロのレビュー・感想・評価

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)
4.3
まだ函館三部作の『海炭市叙景』が未見なのだが、観たことのある佐藤泰志原作のなかでは『そこのみにて光り輝く』や『きみの鳥はうたえる』よりも好きだ。
演出もベタでコテコテなんだけど、物語展開に牽引力があるのと、個人的に共感できる設定にやられた。
いろんな人がいるし、いろんなものを抱えているという当たり前のことを再認識させられる。
オダギリジョーがオダギリジョー史上最高のオダギリジョーだった。
蒼井優のメンヘラ感が完璧。
一番好きなシーンはキャバクラで松田翔太がホステスの蒼井優のことを「こいつはヤリマンですよ」とオダギリに言い、空気を変えるため、蒼井が鳥の踊りを始め、そして綱引きのような仕草でオダギリをひきはじめるのだが、オダギリは「俺は何も失うものなんてないから」と蒼井のパントマイムに乗るシーン。
今、思い出しただけでも泣きそう。