たりほssk

ヴィオレット ある作家の肖像のたりほsskのレビュー・感想・評価

3.5
このような作家がいたことを初めて知りました。
話はとても長いのですが、本のように章ごとに区切られているのでわかりやすかった。

エマニュエル・ドゥヴォスの存在感が何しろすごいです。彼女演じるヴィオレット・ルデュックの苦しみが全身から伝わってきました。
激しく愛を求め、自分の出自、母との関係、自分のアイデンティティに深く苦しみ、悩む彼女ですが、そのことを物語に昇華できるということが、生きる救いになっていたと思います。

それを支え続けたのがボーヴォワールですが、感情に流されることなく、常に非常に冷静に彼女の才能を励まし続けているところが印象的でした。
その当時において時代を先取りしていた、女性をありのままに描くルデュックの作品、いつか読んでみたいです。
たりほssk

たりほssk