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ヴィオレット ある作家の肖像のicのレビュー・感想・評価

3.5
苦しい。孤独ということを全面に出す彼女の姿が返って周りを遠去ける。
でも彼女は黙ってられないくらいにストレートに欲求をぶつける。それは不器用と言えどどこか憧れを持つようにも感じられる。ヴォボワァールの考え方からでは受け取って貰えないのなんて目に見えているのに。片思いの相手からの中途半端な優しさ(援助)ほど辛いものはない。優しさは時に残酷に感じる。本当に優しいと言えるのは冷たくすることでもあったりする。同性というのはそこが厄介でもあるのかもしれない。

皮肉な話だ。女性が性について赤裸々に書くという大業を成し遂げたが、彼女の辛い生い立ちがなければそんな小説が世に出ることさえ、増してや時代における女性の立場の進歩さえなかったかもしれない。
愛されないこととは求めるほどに離れていき人間の距離感が孤独を増加させる。お金に飢えているというより、愛に飢えているように見えた。

劇中、女だから、男だからと性別を区別するセリフが多く感じた。時代背景を表しているのか。その割に多くの人がバイセクシャル。
サルトルは最後まで登場しなかったけれど、出てくる登場人物みな今の時代でも有名な人ばかり。芸術のジャンルを問わず付き合える関係で投資したり、応援したり、評価し合う感じがいいなと思ってしまう。
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