人から肯定されるものだけが正しくて、奇を衒うことが個性だと思っていたダニエル。
「君が違うって言うから違うような気がしてきた」「好きだった映画も人も本も、けなされると嫌いになる」って、14歳くらいだとありそう。
テオの「一度でも俺に質問したことがあるか」というセリフ。
親の過干渉のせいで自分のことや人の目ばかり気にしてきたダニエルと、親の愛情を受けずに1人で生き抜いてきたテオの、内なるものの差がこの場面で分かる。
個性は髪型で決まるんじゃない、自分の選択や行動で決まるんだ、と諭すテオに憧れつつも、彼の模倣をしているだけのような自分に嫌気がさすダニエル。人と違わないといけない、っていう呪縛に囚われていることが痛いほど伝わってきた、、
最高だったのは、ダニエルの絵の展覧会にテオだけ来てくれるシーン。ネガティブを無理矢理にでもポジティブに変えてくれる子って周りにいてくれるだけで助かるし、大体そういう子は強そうだけど一番繊細な気がする。
タイヤ部分を板で隠して家に擬態するのが可愛すぎるのと、テオに教わった撃退法を初めて使うシーンが激アツ。🔥
本作が切ないのは、この夏で会えなくなると知らずに過ごした時間が、意図せずに永遠の思い出になってしまったから。
夏の終わりにセンチメンタルすら感じないような日々が、大人になった時に一番恋しくなるものなのかもしれない。
同じ夏は二度と訪れないけど、30年後、あの時のドライブの話に花を咲かせながら、2人でお酒を酌み交わしていてほしい。
ただコリアンタウンでの散髪シーンで、日本と韓国は未だに向こうではごっちゃになってるんだな〜と悲しくなった。