ぬ

グッバイ、サマーのぬのレビュー・感想・評価

グッバイ、サマー(2015年製作の映画)
4.1
夏が終わりそうなので観た。
ロードムービーってハズレがないな。
ややこしい思春期の少年二人が夏休みに自作の車で旅に出る話。
みんな大好き『僕らのミライへ逆回転』のミシェル・ゴンドリー監督作品。

ひらすら青春だな。
主演の少年二人がいい。
華奢でまわりからミクロと呼ばれている悩み多き少年と、機械オタクでガソリン臭いからガソリンと呼ばれている変わり者の転校生の少年。
それくらいのときの、「周りのクラスメイトはしょーもねぇ!けど自分も個性がなくてつまんないのかも…」みたいな悩みすごいわかる。
ミクロのお母さんはアメリの人です。
息子を愛してるけど、理解できなくて神経質になっちゃうお母さんという役どころがめちゃめちゃぴったり。すごい。

ミクロとガソリンが二人で夢中で車を作って旅に出る!みたいなワクワク感、もういま無敵だわ!みたいな冒険が始まる時の気持ち、二人を見てたらこっちもワクワクしてくる。
けど、結局この世はクソ。無慈悲。抗えないこと多すぎ。あーやだやだ。みたいな感じも、わかる。わかるゥ…
なんだこの終わり方?と思ったけど、ある意味ミシェル・ゴンドリーの誠実さが出てるよな。
生ぬるくて楽しいモラトリアムには、いつまでもいられないんだよね。いつかは追い出されちゃうんだよね。人生の夏にグッバイしなきゃいけない時が来るのよね。
わかっちゃいるけど、まだわかりたくないよ私は…
きっと、『ウィズネイルと僕』とか『ゴースト・ワールド』とかモラトリアム映画好きな人は好き。

フランス映画を観るたびに心配している無駄なエロシーンですが、全然許せる範囲なので大丈夫です。
それより笑えるシーン、しんみりくるシーンのほうが多いから、気にならない。
フランスってやっぱシャレてるよね。
廃品回収行く画ですらなんかシャレてるもん。

ところで、ミクロみたいな少年てこれからどっかのタイミングでさらっとモラトリアムから抜け出して、すごい明るくなって、素敵な恋人もできて、人生エンジョイしそうな気がする。
むしろ作中ではミクロを励ますポジティブキャラなガソリンのほうこそ、モラトリアムからなかなか抜け出せないこちらサイドの人間になりそう。きっとそれでも人生楽しいよ。大丈夫じゃないかもしれないけど、大丈夫になるよ。
幸せになってくれ、ガソリン…

夏が終わっちゃうからみんな観てください。
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