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グッバイ、サマーのcoroのレビュー・感想・評価

グッバイ、サマー(2015年製作の映画)
3.7
行き方も、生き方も、自由

主人公は14歳の少年ダニエル。女の子のような顔立ちをしているせいか男の子と遊ぶよりも女の子と一緒に過ごすことの方が多い。繊細で感受性のつよい彼は、仕事に追われ近頃不仲な両親を心配に思い、眠れない日々を送っている。
そんなある日、彼のクラスに転校生(テオ)がやってくる。スリラー(MJ)のジャケットを羽織り謎の自転車を乗り回す彼とダニエルはすぐに仲良くなり、今でしか出来ないひと夏の旅へと出かける。







以下ネタバレ

色々と問題を抱えてはいるが家族に愛され、ベッドの下の裸の絵でさえアートだと認められるダニエルと、自由奔放に生きているように見えてその実、芸術に溺れ礼節を失ってしまった父親と、芸術なんて部屋を汚すだけだという価値観しか持ち合わせていない母親に羽根を奪われかけているテオ。ふたりの姿を、今なお社会問題となっている欧州の人々のロマ人に対する偏見意識を反映するかのように描いている。

かつてジプシーと呼ばれ、欧州では異教徒として早くから差別を受け迫害され続けてきたロマ人。独自の生活スタイルを持つ彼らの(ような)生き方を尊重し、事あるごとに彼ら(の分身)を擁護するダニエル。自分の好きな女の子との会話でも「人のことを外見で判断してばっかりだ」と拗ねてみせたりする彼の感性を羨ましく思う。
ダニエルが目を閉じて遡れば何か良いことが待っていると教えても、何も浮かんでこないと答えるテオが切ない。

最初はオシャレだと思っていた会話も徐々に鼻についてきたりもするけれど、それでもやっぱり心は満たされていく。

ダニエル振り向いて
3つかぞえるから
1 … 2 … 3 …

7つまで
4 … 5 … 6 … 7 …

無限


なんて素敵な反則技 ♡




以下ネタバレ(書かずにはいられなくて)

パーティでのカツラが後々の伏線になっているところが笑いのツボ
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