ユカリーヌ

この世界の片隅にのユカリーヌのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.5
【過去に観た映画】2016.11.14

評判通りの素晴らしさ。

水彩画のようなあたたかみのあるタッチの絵で、
映画のような自然さで、キャラが愛くるしい。
でも、戦艦とか軍機は精密に描かれている。
表現の多様性も見せてくれる。


主人公すずを演じた女優のんがとてもよかった。
彼女以外考えられない程、ハマリ役で魅力的だった。


戦争反対と声高に叫んだり、戦争の悲惨さをアピールする反戦映画ではなく、むしろクスっと笑らわせ、ほのぼのさせてくれる。
どんな状況でも自分らしく生きた すずという女性を描く。


すずがずっとすずのままでいられたらいいのにと皆が思う。
だけど、画面に出る日付が変わって行くうちに、
あの忌まわしい八月が来ることを観客は皆知っている。


いつも家族のために美味しいご飯を作り、好きな絵を描いて、皆にそっと寄り添うすずが、
「暴力に屈したくない」と泣く姿を見なければならない。


一つ一つのエピソードが丁寧で深いのに、とてもテンポがよく、人へのあたたかい眼差しが
随所に感じられる。
そして、巧妙で上品なエロスも感じさせる。


後半、涙がとめどなくあふれるけど、ラストは笑顔にさせてくれる。
エンドロールにもしっかりドラマを見せてくれ、
いつまでも余韻を残す。


パンフ売り切れてた、残念。
歌もよかったなあー。
ユカリーヌ

ユカリーヌ