たいてぃー

この世界の片隅にのたいてぃーのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
3.8
原作は漫画アクションに連載していたとのことだが、読んではいない。この雑誌、古くから青年向け漫画で有名だが、こんな辛辣な内容のものも取り上げていたとは意外。拉致問題が題材の作品もあったとのこと。読んでみたい。
本作は戦争絡みの少女の成長譚。いろんな事がこれまでかと出てくる。広島編で幼なじみの哲とのやり取りが良かった。すずが絵を代わりに描くが、海にうさぎがすごい。相思相愛感がにじみ出ていたのだが。哲は、すずの結婚後も登場する。このときのすずの夫、周作の態度が腑に落ちないというか気にくわない。それとも自信があってのことなのか。その他、初夜での傘が云々とか、側溝に落ちての抱擁シーンとかも印象に残る。キスシーンとかもあって、結構ドキドキ感を感じたのだが、これは時代背景からくるものなのか、それともこの作品の持つ雰囲気からか。
それと、蟻と砂糖の件が笑えた。すずと義理の姪、晴美はいいコンビ。いつまでも二人の微笑ましい姿を見たかったが。
また、本作は昭和初期を生きた女性の群像劇でもある。嫁ぎ先で苦難があっても芯は強くくじけないすず、気は強くても何気に優しい義姉径子、遊郭で働くリン、すずの妹、すずの義母など。それぞれがポジティブ。
橋の上でタイトルを語るシーンがあるが、あざとさが感じられた。無くても良かったかと。
あと、声優ののん。出だしは「あまちゃん」だなって感じたが、キャラが合っているのか、いつの間にかはまっていた。次は女優での活躍を期待。