涙が止まらなかった
一筋も一粒もこぼれず、用意していたハンドタオルは少しも濡れてはいないけど…
戦争の映画、広島出身の女の子
観る前の情報はコレだけだった
すずは、ぼぉっとしている
そののんびりさで、その無知さで、その柔らかさで、生きている
“全てを自分で決めてきた”という人には見つけられないのかもしれない
すずは自分から欲しいと言わないから?すずを欲しいという人から離れないから?
時間は過ぎていく
護りたいモノも守れない
大切な人の死も、目の当たりにしないとどこか別の世界の出来事
目の前で大切な人が倒れると、その恐ろしさも悲しみも驚きも抑えられない
死も、空襲も、闇市も、新型爆弾(原爆)も、戦死も、被曝も、配給延期も… すずの日々に戦争がある、隙間なく
すずは言う、ぼぉっとしたまま死にたかった
そして、辿り着く
「この世界の片隅で私をみつけてくれてありがとう」
誰もがこの世界の片隅で生きている
生きていた
生きていく