まるまる

この世界の片隅にのまるまるのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0
片渕監督や、多くのレビューを見てると
繰り返し出てくる「日常」という単語。
この映画で描かれているのは
僕ら現代に現実に生きている人間と
なんら変わらない普通の人々。
戦時を生きる普通の人々を描きたかったとの
監督の言葉通り、
タイムスリップして、
当時を体験したかのような気にさせてくれる映画。
ちなみにこれも、監督の言葉w
スクリーンの中に、ちゃんとすずさんが生きている。
またまた監督の言葉だけど、
「すずさんに会いに来てください」
この言葉が映画館に足を運ぶ理由に一番しっくりくる。
すずさんに会いたくて
僕は6回映画館に観に行った。
映画館で一つの映画を複数回みるのは
この映画が初めて。

震災を経験したことも、大きかったように思う。

これまでどこか絵空事のように思ってた空襲。
とつぜん何の前触れもなく、
見慣れた山の稜線を越えて
アメリカの戦闘機が大挙して現れた時の
どこか浮ついて頭がちゃんと動いてない感じ。

日本の建物・風景に、
爆弾、機銃、ロケット弾、焼夷弾、照明弾、
攻撃されるシーンのたび
沸き起こるザラッとした感じ。

アメリカもういい加減にしろ!
子供が怖がってるでしょうが!
スクリーンにマジ切れ
(もちろん暴れたりはしませんがw)

自分の町が爆撃を受けるやりきれなさ。
水平線まで広がる焼け野原を目の当たりにした感じ。

いろいろ、思い出した。

「日常」の、ある側面。
ご近所さん含め全員が
状況に流されるままなんだけど、
それに慣れてしまうあたりも
ちょっとゾッとした。
「空襲警報もう飽きた」とか、
配給が少なくなって、雑草をレシピに加えるとか、楠公飯、
喜々として苦労を受け入れたりとか、
美徳ではあるし、笑ったりしたけど、
その反面に感じる薄ら寒さに、
見てるこっちの心情がどんどん締め付けられてく。
山を越えた向こうでB29の大群が爆撃してるんだけど
すずさんは、そのあおりを受けて汚れた洗濯物を
「あ~あ」とか言いながら、淡々としまってる。
日々なにかが迫ってくるかのような状況を
当たり前のものとして、自然に受け入れてるあたりの
強さというか、鈍感さというかがじわじわ来る。
昭和20年8月6日の広島に何が起こるのか
僕たちは知っているから。

冒頭部分。
青空をバックに
雀が飛んだり、
タンポポが揺れてるだけのシーンに
謎の涙が流れたもんで、
「自分は病んでるのかも?」と心配になったけど
ネットで僕だけじゃないと知って安心したw
この涙も、今思えば
この先何が起こるのか知っていたからかもしれない。

玉音放送に泣く人々。
はだしのゲンで、そういう人がけっこういたと言う事は知ってたけど
なんで泣いてるのか理解できなかった。
この映画を見て、初めて理解した。…と思う。
すずさんも、危うい状態だったんだなとも…

震災後、被災地では幽霊の目撃談が後を絶たなかったとか。
本当に出たのかどうかは別にして、
大事な人を亡くした人たちには
そういう話が必要だったんだと思う。
マイマイ新子でも思ったんだけど
「この世界の片隅に」も、
亡くなった人たちの世界というか
ヤオロズの神々の住まう世界というか
不思議な世界が少し重なってるような描き方をしてる。
その描き方に、かなり救われた。

ラストがああいうラストでホントーによかった!
この世の生きとし生ける者全ての幸せと、
あの世の全ての人たちの安寧を
心底祈らずにはいられない映画。


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2月末か3月前半記す。サントラ購入が2月22日。

地元の映画館での上映が終わったのが2週間前かな?
なんだか、すごい昔のことのように感じる。
いつでも観に行けるっていう安心感がなくなったので
映画のサントラ買ってみた。
曲が流れるシーンを思い浮かべながら聞くんだけど
映像を追わなくていい分、
人物の心情が、より際立って響いてくる。
これは新しい発見だった!
おかげで通勤中の車の中で
一人泣いてるへんなオッサンが生まれたわけだがw
これもネットを見ると
僕だけじゃないようなので
安心したw

広島の絵を描いてる時。
あれは町にお別れしてたんだなってのが
鑑賞時にもそう思ってたけど
音楽だけだと、より胸に迫る。
大和の時。
あれもそう。
初めて呉と向かい合えたんだなと
より胸に迫る。

スゴイ映画だった。
ほんとスゴイ。
今後、こんなスゴイ映画には
もう出会えないんじゃないかなとも思う。
この時代に居合わせたことに感謝。

「神は曲線によりて、まっすぐ描く」
ネットでこの映画を調べるようになって
出会えた言葉。
映画の製作過程も神がかってるんだよなぁ
この映画。

♪叶わない願いも
届かない想いも
深い深い色になって
私をそっと染めてゆく~
デレンデンデンデレンデンデンデレンデレンデレンデレンデンデン
あの屋根を越えてっ(略

って書いてたら、また泣けてきたw
困ったなぁホント。


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5月10日ネットで配信開始。
やっぱあそこで一時停止。
無理だわ。
進めん。
たんぽぽまで…
たんぽぽまで頑張るんじゃ、俺!

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7月23日
もう何度観たんだろう。
冒頭部分とみぎてのうたからの部分だけ観ることも多いけど、ここだけでも毎度毎度ゆっさゆっさ揺すられるw
「去年の晴美の服じゃ。こまいかねぇ」
やっぱり僕にとって、この映画がベスト。

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8月25日
https://www.youtube.com/watch?v=HjkVk2qIxyk
荻上チキ・Session-22 2017.08.24 映画『この世界の片隅に』は日本で、そして世界でどう受け止められたのか ゲスト片淵監督

「なんだかわからないけど泣けてきた」海外でも同じ謎の現象がw

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8月26日
岩手県花巻市イーハトーブフェスティバル参加。

コトリンゴ ミニライブ 
曇天から光が差し込み、神の実在について考えたw
ピアノ一つで、こんなにも魂が揺さぶられるとは。

こうの史代 トーク 
宮沢賢治へのディープすぎる愛w幸せな時間。
「この世界」の化け物や座敷童(ぼっこ)や方言オンリーなのは宮沢賢治からの影響とのこと。「気のいい火山弾」のラストのセリフが「この世界」にも生きてるし、自分の支えにもなってるとのこと。

「この世界の片隅に」野外上映 
スクリーンとこっちの境目が少し曖昧wすごい体験だった。
夜空に思う皆の幸せ。合掌。

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9月15日
ブルーレイ販売、レンタル開始
アマゾン特装版買ったったw
13日、片渕監督より長尺版についてのツイートあり。
https://twitter.com/katabuchi_sunao/status/907994030415298560
まさか、既に動いてるとは!感謝感激雨あられ!
そうかぁ。りんさんとか、桜のシーンとか描いてくれるのかぁ。
「また迷子になるでー」BGMりんさん
くぉー!りんさん!

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9月23日
映像ソフト版「この世界の片隅に」 修正ポイント徹底検証
https://togetter.com/li/1153551
妥協を許さぬ職人魂。
これって前代未聞?

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平成30年1月22日
2月3日から全国のイオンシネマで、また上映してくれるとのこと!
もう、とっくに諦めてた、映画館での再鑑賞。
なんてこったい!
また観られるのか!!
ジーク・イオン!!

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2月18日
7回目の映画館鑑賞。
上映されてたのは修正版。
雪道の為、劇場に入った時には
「あんがとな浦野すず」「こりゃあ!」のとこだったorz
今回も、胃の腑が滾るわ、泣けちゃうわ。
やっぱ映画館で観ると魂の抜かれ方が違う。
今回は特に「うん」でやられた。
全ての人が幸福でありますように!

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3月17日
http://toyokeizai.net/articles/-/147002
映画「この世界の片隅に」製作プロセスの秘密
真木プロデューサーインタビュー
今敏監督を売り出せなかった悔恨。
ここにも強い想いが。

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NHKラジオすっぴん!「片渕須直インタビュー(聞き手高橋源一郎)」(2018年3月9日放送) - 廣島城天守閣
http://an-shida.hatenablog.com/entry/2018/03/20/190530

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6月18日~29日
武田鉄矢「朝の三枚おろし」にて「この世界の片隅に」
>人形浄瑠璃。
>人間がやると生々しくなるところを、人形がやるから、
>その悲劇を我々は直視できる。
なるほど。たしかに。
それにしても、武田版「この世界の片隅に」も面白いw

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8月15日
https://www.youtube.com/watch?v=IbRkWHJ3AEI
のん&片渕須直監督、終戦の日に作品への想い語る アニメーション映画『この世界の片隅に』再上映舞台挨拶

11月に公開した理由。
戦争モノは8月と思われがちだが、ほんとにそうかなと。
8月にしか戦争を思い出さなくていいのか。
戦争もそうだし、すずさんも八月だけじゃなくて、ずっと長い日の中を生きてたと。
そんな風に考えると、むしろ夏を避けて、物語が冬に始まって冬に終わる映画だから、冬に封切した。

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10月9日
片渕須直×こうの史代×コトリンゴ
オタフクソースのウェブアニメが公開
https://www.youtube.com/watch?v=S5OB3EDmiNU

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令和元年
8月3日 午後9時
NHK総合、地上波初放送
8月10日 午後9時
NHKスペシャル「あちこちのすずさん」

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備忘録

破局をはらんだ日常のなかで夢見ること、生きること
片岡大右
https://researchmap.jp/mud18bwxa/?action=multidatabase_action_main_filedownload&download_flag=1&upload_id=122091&metadata_id=171643
ポルトガルのことわざ「神は曲線によってまっすぐに描く」のだ。

片渕須直監督のツイッター
https://twitter.com/katabuchi_sunao/status/799337145215221760


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令和4年9月

「この世界の片隅に」14年前に空爆受けたジョージアの村で上映…片渕須直監督「どう見ていただけるか知りたかった」
https://www.yomiuri.co.jp/culture/cinema/20220928-OYT1T50245/
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