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この世界の片隅にのbackpackerのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.5
広い世界の小さな命が、日々を普通に、懸命に生きる。ただそれだけのことなのに、なんて美しいんだろうか。
東京国際映画祭で見れず、それ以来中々チャンスに恵まれませんでしたが……漸く鑑賞。感動しました!
決してシリアス一辺倒な反戦映画ではなく、日常のほのかな幸せに笑いの彩りを加えて、その笑いと感動の絶妙なバランスが、このゆったりとした空気を作っているのだと思います。

日常の中に、戦争が割り込んでくる。それと同時に、すずさんの心に多くの葛藤を抱え込ませていきます
辛いことにも激昂することなく穏やかな彼女が、時より激情を吐き出すのが頭に残りました。心の中では、様々な思いが渦巻いているのでしょう。この胸も張り裂けそうな思いの発露、思わずこちらも歯を食い縛りそうになります。
それでも、日々は淀みなく続き、辛いことや悲しいことがあっても、明日がやってくる。日はまた登り、お腹も空くのです。
すずさんのエンドロールでの絵が、じんわりと染み入ります。感動しました。
こうの史代さんの原作を、是非とも読んでみたく思います。
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