創

この世界の片隅にの創のレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0
どうしたってすずさんが他人に思えない。

母の若い頃の話を聞いているような、
祖母の娘時分の話を聞いているような、
おばの昔話を聞いているような。
娘の成長を見守るような、
孫の日々を心配するような。

誰とも知らない、でも私の大切な人の話に見える。

何度も読み返し、何度も再会を喜んだ漫画の中のすずさんが、
映画の最初の一言でもうそのすずさんで、
すずさんがそこにいる、すずさんが動いてる、すずさんが喋ってる。
それだけで泣けてしまった。

最初の一言でのこの吸引力はすごいと思う。
最初の一言を決めた人も、完璧にすずさんになったのんも。

私はまだ30代で、60ぐらいまでは生きるつもりなんだけど、
残りの30年でまたこんな良い映画に出会えるのか、
この先の映画人生がちょっと不安になった。
創