どうしたってすずさんが他人に思えない。
母の若い頃の話を聞いているような、
祖母の娘時分の話を聞いているような、
おばの昔話を聞いているような。
娘の成長を見守るような、
孫の日々を心配するような。
誰とも知らない、でも私の大切な人の話に見える。
何度も読み返し、何度も再会を喜んだ漫画の中のすずさんが、
映画の最初の一言でもうそのすずさんで、
すずさんがそこにいる、すずさんが動いてる、すずさんが喋ってる。
それだけで泣けてしまった。
最初の一言でのこの吸引力はすごいと思う。
最初の一言を決めた人も、完璧にすずさんになったのんも。
私はまだ30代で、60ぐらいまでは生きるつもりなんだけど、
残りの30年でまたこんな良い映画に出会えるのか、
この先の映画人生がちょっと不安になった。