日常を描いた広島での戦時中の話。
父、母、鬼ぃちゃんと妹の5人家族の元で育ったすずは周作のもとへ嫁ぎ呉へと身を移す。
新しい環境でわからないなりに努力をし、自分の居場所をつくっていくすず。
友達を作り、貧しいなかで模索しながらご飯をつくり、失敗もするけど笑いあえる家族の元で食卓を囲む。
淡々と進んでいく日常があるからこそなんとなく疎外感を感じる時もある。
そんなすずの毎日がゆるくゆるく描かれていく。
やがて戦争真っ只中に突入すると、日常の中で人は当たり前のように死んでいく。
当たり前であっていいはずがないのに、悲しむ暇もないくらいそれは続く。
それでも明日はくるし、ご飯は食べるし、歌は歌うし会話はある。
いつかくる原爆を知っているからこそ、みていて胸が痛むものの、それが全てではない。
毎日人が死んでいくのだから、毎日街は崩壊していくのだから、きっと心は弱っていくしきっと恐怖は強くなっていく。
妥協の中で見つけられるよかったの一言がいま生きていることを物語っていく。
そこに幸せを見出さなくてもいい。
でもこれが日常だ。
ひとつひとつの会話がほっこりしてて、自然で、優しくて、だからこそ涙が出てくる。
余韻がすごいし一生忘れない。
戦争という重たい題材のはずなのに重くはない。
でも心にズシンとくるものはありました。
いい映画を観ました。