じゅんP

この世界の片隅にのじゅんPのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.2
ちゃんと目を凝らして、心を傾けて観ていないと、教科書みたいに太字にしてあったりアンダーラインが引かれてたりしない、いつも通りの"戦時下"は、どんどんどんどん流れてく。
昨日も、今日も、きっと明日も、生きる力を伴って、どんどんどんどん流れてく。

戦争映画を観るのが下手だという自覚がある。
その辛さや壮絶さを想像する時、過去の戦争や他国で起きている戦争を知ろうとしたり、知った気になりながらもどこかで、自分との距離を測ってしまっている自分がいるから。
でも、こーやってわかる方向からアプローチしてもらったことで観る前より少し、自分のことにできた気がした。

すずさんは戦争がなければたぶん、日々をそこまで強く意識しなかったタイプの人で、そこは平和ボケした自分に近いような気がして、その日々がすんなり、染み込んでくる。

こんなにも日常であることに、日常の延長線上であることに、ただ生きて、ただ闘っている日々が積み重ねられていることに、戦争を知らない自分はこんなやさしくていいのかなって不安になってしまうけど、だからこそ平和に暮らせているただの毎日に、もっと鋭敏でいたい。
すずさんの右腕の今までの可能性と、これからの可能性に、自分の温度を重ねることを忘れたくない。

たまたまこの映画を3月11日に観て、たまたまその前日に大勢の人に混ざって黙祷をする機会があって、大人たちが静まり返る中、おそらくまだその意味がわかってない子供の声だけが耳に入ってきて、そこには楽しそうな声や笑い声もあって、何でもないただの3月12日に、何かそんなことを思い出したりしました。