名無し

この世界の片隅にの名無しのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.3
戦時中ではあるけど、主人公の女の子がいつもぼけっっとしていて、それでいて周りの人たちも優しいので全体的に明るい作品。

この映画は泣ける映画と評されてるけど、いわゆる御涙頂戴的なシーンは少なく、どこで泣いちゃうかは人それぞれだと思う。
自分は人が死ぬところでは泣かなかったが、防空壕に避難してるシーンで、すぐ近くに爆弾が落ちて、その爆音が鳴り響く中、耳を塞いでうずくまりながら空襲が終わるのを待つすずと晴美ちゃんの姿や、カレンダーが段々と8月6日に近づいていくところ、最後の親娘のシーン等、明るく優しい町に戦争の理不尽な恐怖が降り注いでくるところに涙が溢れてしまった。

だけど、けっして戦争の恐ろしさを前面に押し出してる映画ではないと思う。楽しい時もあれば大変な時もある普通の女の子の"戦時中の日々"を描いた作品。

ただのすずの空想かなと思っていた座敷わらしや人さらいの鬼や最後の親娘が手を握ってるシーン、劇中では説明されないが色々な意味が込められてる。現代文が苦手なので最初は全然気づけなかったけど、これに気づけてたらここでもきっと泣いちゃってたかも。
名無し

名無し