色々なところで大変評価されているけど、あまり何が良いのかわからなかった。
映画館で観たのではなくホールで見た為か、前半部分は方言がキツいのに加え、音声が少しズレているように感じた。
戦争に対してアンチテーゼを投げかけた作品であるのだということはよくわかる。
そして、凡人だった主人公がその時代での一般的な経験を通じて、少しずつこの世界観における基準からズレた片隅に移動していく姿は観ていて痛々しかった。
秀作の評価がメチャメチャ高いけれど、私は拗ねた男程、女々しく情けない存在はないと思う。
ズレているのかもしれないが、私はあまり彼が好きではない。
そもそも、「この世界の片隅」とは何なのであろうか。
私は上記の通り、すずの思想基盤が普通からズレていくことだと思う。
確かに一国民など搾取の対象でしかなく、「世界」の中心に国家が位置しているのならば、片隅なのかもしれない。
しかし、そういうことではないだろう。
すずの住むところは確かに長閑で爆撃機なぞ最も似合わない世界の片隅かもしれない。
しかし、そういうことではないだろう。
これは製作者に委ねられるのではなく、各々が各々の解釈を持つべきであると思う。
ある意味、この作品は多様な解釈を許容する、まるで哲学書の様なものなのかもしれない。