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この世界の片隅にのGTのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.8
戦争を題材した映画だが、戦争批判的なメッセージは抑えめで、戦時中の人々の日常を割と淡々と描く。
作画が少し独特で、トボけたような、なんとなく水木しげるの漫画っぽい雰囲気。主役のすずはマイペースな性格でこれまたトボけた雰囲気を出しているし、何よりのんの棒読み気味な演技がその緩さに拍車をかけている。他の登場人物達も皆一癖ありながら明るく朗らかな人達ばかりで、時折挟まれる戦争のキナ臭ささえなければ、日常物のアニメっぽささえある。
後半はキツイ展開が増える。だが、そんな中でも何とか明るく暮らそうと努めるため、心を締め付けられるような切なさはあるものの悲愴感はあまりない。時代に翻弄されつつも明るく生きることを忘れず、歴史的な出来事を題材にしてはいるものの批判的には描かないという点で、チャン・イーモウの『活きる』と似てるかも。
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