あー

この世界の片隅にのあーのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.8
この世界の片隅にいたすずさんを
クラウドファンディングで映像化
させた心意気。ありがとう。

おかげさまで、すずさんに会えました。

触りを漫画で。後半は映像で。
と中途半端に観ていたので、
改めてちゃんと観ました。

漫画の中でゆったり流れていた時間は、
映像になってもそのままで。

心地良く、優しく。
すずさんが描いてた美しい絵のように
すずさん自身も周りの人達も色づいていた。

上手く表現出来ないが、
このゆったりした時間間隔を
自然に出せる。
って日本ならではでないかと思う。
見えない空気まで感じられるような
ゆったりした流れ。

すずさん自体のたおやかさも、
とても魅力的。

わたしの祖母は長崎でしたが、
戦争の話は直接聞いた事がありません。
小学校低学年の頃、帰省した時に、
せっかく来たなら。と親戚達と
原爆資料館に行きました。

入り口から観た写真やら何やらが
怖くてずっと下を向いて歩いてました。
今、思い返しても記憶にあるのは
焼け焦げたレンガと、どなたかの
お手紙だけ。なのですが、子供心に
戦争=恐怖と位置づけられて、
お恥ずかしながら子供の頃に観た
戦争映画は1つもありません。

観終わって凄く思ったのが、
この映画を子供の頃に観てたら、
もっと戦争に対しての見方や興味も
変わったかもしれないな。という事。

ただ恐怖や怖さを伝えるだけでなく、
すずさんの日常を観ながら、あの時代
あんなに穏やかに暮らしていた日々が、
戦争によって奪われ、それでも。
どんな時でも懸命に生きようと、
大切な居場所を見つけ、見つけてもらい。
周りの人達と共に歩もうと前を向こうと
勇気づけられる映画。

怖いから戦争駄目。
悲惨だから戦争駄目。

ではなく、日常の人々の健気な暮らし。
は簡単に奪っていいものではないんだよ。
じゃあどうしていこうか。

なんて聞いたら、きっと凄いアイデアが
柔軟な子供達からいっぱい出てくるかもね。

今年の夏で戦後75年目。
大人が観る為の戦争映画。だけで、
未来の平和は足りるのだろうか。
あー

あー