ひでやん

湯を沸かすほどの熱い愛のひでやんのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.3
余命宣告を受けた母が、死ぬまでにやるべき事を実行していく家族の物語。

お母ちゃんの決意その1
●蒸発した夫を連れ帰り、銭湯の再開。

浮気した時にできた娘を連れて戻ってくる父がクズに見えたが、女が子供を置いて出て行った事を思うと気の毒。オダギリジョー扮するお父ちゃんのキャラがなんだか憎めない。母を恋しがる鮎子に罪はなく、彼女を受け入れる双葉に心温まる。

お母ちゃんの決意その2
●娘を独り立ちさせる。

学校を休みたがる娘に対して、行くまで待つのか無理に行かせるのか正解は分からないが、身体を張って立ち向かった安澄の勇気に万歳。これで解決とは思えないが、とりあえず強くなった心に万歳。

●娘をある人に合わせる。

これは泣いた。財布を落とした女性や高足ガニが伏線となり、回収される手話の場面で涙腺崩壊…。

親子の朝食という何気ない日常で始まり、味噌汁の味が変という娘の言葉が伏線となり、カウントダウンされる母の命。

なぜそうするのか?という疑問や違和感がいくつかあったが、死へ向かう双葉の「余命」によって、それらが納得させられた。

目標を立てる時間もないのに、時間を持て余したヒッチハイカーに目標を与えるお母ちゃん。

自分の事より家族の事ばかり心配するお母ちゃん。

宮沢りえの身を削る迫真の演技と、杉咲花の絞り出す演技に心を揺さぶられた。

とんでもないラストだったが、タイトル通りのラスト。お母ちゃんの熱い愛が心に沁みるラストだった。
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