いろどり

湯を沸かすほどの熱い愛のいろどりのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.4
母親との関係という普遍的なテーマがときにベタに、ときに痛々しく描かれていて、父親が重要視されていないところにリアリティーがあった。子供は皆、母親の愛を求め続けるものなのかもしれない。ダメンズオダジョーは最高だった。

子供に辛い言葉を言わせる双葉のシビアなところには共感できなかった。制服を盗まれているのに体操着で学校に行けなど、見ているこちらの胸が張り裂けそうになる。年齢に関わらず人には人のタイミングがあるので、自分の死期に合わせた強引なやり方はちょっとどうかなと思ってしまう。作りすぎたベタな演出を好きになれないため、娘と母親の手話のシーンや組体操のシーンなど、あまり感動はできなかった。

ただ役者陣の演技は素晴らしかった。杉咲花の初々しくも力強い演技は今後の邦画界の発展を期待させるし、宮沢りえの芯の強さを感じさせる演技は本人が元々持っているものを拡大させたのだと思わせる自発性があった。赤は情熱の色。生へのエネルギーへの渇望が詰まっていた。

ラストに黒いスーツで車に肩肘をついたオダジョーのシーンがあり、あれ?なんか見たことあるぞと思った。「メゾンドヒミコ」のラストで白いスーツで肩肘をついたオダジョーのシーンがよみがえった。監督も違うし偶然なのかもしれないけど、新旧あわせてなかなか絵になるシーンだったと思う。
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