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湯を沸かすほどの熱い愛のMSTshoziのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.5
実際と体感での時間の経過にズレがある。面白くてあっという間に、冗長ゆえに長く感じる事は多々あれど、このように映画を長いと感じたのは初めてである。
主人公の境遇生い立ちから考えられる様々な要素への対比的なキャラクタ、それにまつわるエピソードがショートストーリーのように詰め込まれに詰め込まれているのだが、それらを繋ぐ展開の妙を忘れず、それでいて実際の上映時間は2時間に収められているにもかかわらず、それぞれのエピソードを性急にみせられたとも感じさせられることもなく、じっくりとその時間を共に過ごしたといった感覚。
ベタな設定の登場人物がそれとわかる配役、その演技、故に最小限で済む台詞からくるシーンの余裕、余白。全てが丁寧さで噛み合い前述のような感覚を受けたのだろう。
鑑賞後の思い返しの時ではなく、まさに鑑賞中に自分の身の周りのことまでよぎらされる。単なる感情移入とも違う。
ともすれば極端な設定やストーリに普遍さが見える。
タイトルにテーマを謳いながら、それがしっかりと伝わる作品であった。
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