Miyaz

湯を沸かすほどの熱い愛のMiyazのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.8
キャッチする側の熱量と状態に左右される剛速球情熱愛情物語。

始めに言い切っていしまいますが、めちゃくちゃ泣かせようとしてくる映画です。
卑屈な言い方をすれば「お涙頂戴」のオンパレード。
これが、観る時のテンションや自分のコンディションに滅茶苦茶大きく影響します。
簡単に言えば、どこかでハマれば泣きまくりの大号泣、うまくハマらなければどんどん冷めていってしまうそんな作品。
そして、私はまんまと見事にハマり終始嗚咽が出そうなほど大号泣しておりました。

主人が蒸発し休業のままの銭湯、そんな中慎ましくも逞しく娘と二人暮らす母親の主人公、そんな中、倒れた折に末期癌が発覚。
先が長くないと分かった主人公が人生の清算をしていく...

この王道ともいえる不幸な物語の中、まあ、宮沢りえ演じる主人公がめちゃくちゃ強い。
強すぎる。
ヒューマンドラマ界のスティーブン・セガールかというぐらい負けない曲げない譲らない。
自分の信念をどこまでも真っすぐに貫いていく。
ここが結構重要なポイント1で、その主人公に対して「うぜぇ...」となるか「すげぇ...」となるかでこの映画の8割がたの評価が決まると思う。

次に前述したように「泣かせよう」とするギミックが多い。正直、波乱に満ちた出来事が起こり過ぎる。
ガンダムレオパルド(画像検索してみてね)か!というぐらいに過剰武装。
ここがポイント2。これらの、多くは映画的というか「そんな事ある!?」というようなご都合主義的な問題と最強の主人公との応酬が続く、それらにツッコミを入れること無く、連続性のあるモノとして観るのでは無く数分間の短編を観ているような気持ちで一つ一つ受け止めれるかどうか。

これらを鑑みて自分なりに一つの結論が出た。
この映画で感じる感覚って部活の引退試合や三年生最後の文化祭的な空気感に近いという事。
圧倒的リーダーシップを持った人間に弱気な女子も、やる気のないヤンキーも、卑屈な根暗も皆一丸となっていく、しかしそんな最強に見えたリーダーが倒れそうになった時皆が手を差し伸べる、的なね!!

故にこの「まさに湯を沸かすほどの熱量」がグッとくれば終始泣き続けます。
ツッコミどころとか分かってても全く意に介さない程に、「ああ...真っすぐやなぁ...」と熱い気持ちやられる。

ハッキリ言って内容はすごく大衆向けなのでどんな人にもお勧めしやすいかと。

あなたが学校行事の時
「だるいしめんどくせぇ...仲間とか言うてるけど、どうせ卒業したら他人やろ」
と心底思っていたか、実はニヒルに構えながらも隠れ熱い奴やったかが分かる一本かも!?

あと最強やった主人公の宮沢りえが衰弱して弱気になっていく演技は個人的にはグッときた。
気軽に観ても、身構えて観ても楽しい映画だと思うので是非!!

PS.タイトルの意味が具体化するオチは引く人も居るかも
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