横でカミさん、ティッシュを箱ごと抱えて号泣。
というか泣き笑い。
いったいティッシュ何枚消費するの?
ティッシュ 一箱使い切っちゃうんじゃね?
なんならゴミ箱も持ってこよっか?
って感じで、でも僕も途中ウルウルでヤバい!ってシーンがありましたけど、でもやっぱり泣き笑い。
夫婦で泣いたり笑ったりしながら、涙やら鼻汁やら、いろんな汁を垂れ流しながらの鑑賞となりました。
もとはと言えば、以前たまたま「チチを撮りに」を観たことがきっかけで中野量太監督に興味を持ったのですが、オリジナル脚本に監督もこなす中野監督の長編デビュー作の本作が一躍話題になっているのを後から知って、これは観ねばとレンタル開始を待ちわびておりました。
主人公の双葉(宮沢りえ)は、一年前に夫の一浩(オダギリジョー)が失踪してから、経営する銭湯「幸の湯」を休業し、パートで生計を立て、一人娘の阿澄(杉咲花)と2人で暮らしていた。
そんなある日、双葉は突然の余命宣告を受け、自分に残された時間がわずかしか無いことを知る。
双葉は残酷な現実を受け入れ、夫を探し出して休業中の銭湯を再開させることや、気が優しすぎる娘を独り立ちさせることなど、残された時間の中で ” 絶対にやっておくべきこと ” を一つづつ実行していくのだった...
「余命宣告もの映画」=「お涙ちょうだい系の典型、定番」という方程式が頭に浮かぶので、普通だったらスルーするとこなのですが、思ったとおり、この映画は通常のそれとはちょっとおもむきが違いました。
この映画は、人の死をテーマにしながらも、笑いやユーモアにあふれている。
確かに泣かせにきているのですが、押しつけがましくない、笑いながら泣けるというか、確かに悲しみもたくさんあるけど、それ以上に大きな幸せに包まれるというか。
死に直面した双葉の行動から、本当の家族って何だろう? と、考えさせられたり、また周囲に与える底なしで無償の愛に、その大きな愛情を感じて幸せな気持ちになり、まさに湯が沸くほどの熱い愛を見せられた、そんな感じでありました。
役者陣も良かったです。
オダギリジョーは二枚目のイメージが強かったけど、ダメ男で優柔不断、でもなぜか憎めない、そんなビミョーなラインを上手く演じていたし、特に娘役の杉咲花に至っては、「泣き」に至るまでの寄せというか、揺れる視線や、震える声、学校でのあの震えながら必死の反抗を見せるシーンや、旅先でカニを食べた後のシーンなど、主演の宮沢りえを食うほどの演技だったと思います。
ストーリーも最初から伏線の貼りまくりで、それらがうまく回収されるばかりか、そう回収してくるか、とヒネリも効いているし、特に意味があるようには思えなかった「色」までもが、最後まで綺麗に繋がってくるあたり、もうアッパレとしか言いようがありません。
見終わった後に、ジャケット見たら、ああここにもあの「色」が、と思ってしまいました。
途中から加わる周囲の登場人物たちについて、もう少し深く掘り下げられたらとも思いますが、尺の関係上しかたがなかったというところでしょうか。
そして、いわゆる「衝撃のラスト」と揶揄されるラストについては、これは衝撃というよりは、確かに意外だけど、なるほどなー、といった感じで、でもこの映画の真骨頂とも言える温かいユーモア、愛情を感じられるラストで、ホッコリ心地よい余韻の残る映画でありました。