マクガフィン

湯を沸かすほどの熱い愛のマクガフィンのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.7
余命宣告を受けた母の奮闘を描く家族ドラマ映画。誰もが厳しい現実に直面しながらも、それぞれに迷い・苦しみながら問題と向き合い、生きていくことを諦めない姿に心掴まれる。

喪失を抱えて生きている事を上手くまとめている事は見事だが、如何せん話を盛り込み過ぎ。また、伏線も多く登場人物が次から次へと増えていき、プロットを広げたせいで少し大味になった事が惜しい。問題に向き合うことは重要だけど、全て戦わなくても、時には逃げたり躱す事も重要ななのでは。いじめシーンは現実とはかけ離れていないか。

宮沢りえ・杉咲花・伊東蒼の演技と演出で充分突き抜けられるとおもうのだが・・・。カット割りシーンの繋ぎも少し疑問。杉咲花と伊東蒼の好演は今後の成長に期待が持てのだが。

とは言え、この映画の不思議な所は、感動エピソードてんこ盛りなのに脚本が乱暴にならず各エピソードで感動し、伏線が多いが見事に回収し、登場人物が多いのに無駄が少ない事で、収まりが良い。

おそらく温めていた原作だったのでは。経験を積んで、長編作品の3作品目位に作った方が構成も良く傑作映画に仕上がったと思う事が残念だが、ストリーの断片的な描写は素晴らしく、今後の中野量太監督の作品が楽しみに。

・2016年 邦画 作品:第8位
・2016年 邦画 新人女優賞:杉咲花「湯を沸かすほどの熱い愛」