緑雨

湯を沸かすほどの熱い愛の緑雨のレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.5
プロットは面白いし、地方都市の銭湯という舞台設定も好ましい(現実味は無いが)。何より宮沢りえは素晴らしい女優だと改めて思う。が、この監督の演出はどうにも肌に合わず、鼻白んでしまう。

例えば冒頭の宮沢と杉咲花の母娘の会話はベタすぎるし、いじめの描写もステロタイプ。
一方で、制服の件りでの杉咲の大胆な反撃や、朝しゃぶしゃぶのシーンでの子役・伊藤蒼の激白などは、自分にはどうも唐突で、ドラマ作りの都合での無理矢理感を感じてしまう。
松坂桃李のエピソードはどれも物語に大した効果を生んでいないように思えるし、タカアシガニの店でのレジのシーンでの篠原ゆき子に対する宮沢のアクション、或いは世田谷の豪邸前での行為にしても、演出の意図がピンとこない。
病院の窓からのシーンはもっと感動的なアイデアが欲しいし、ラストはブラック(レッド?)コメディの志向なのかもしれんが、ちょっと失笑してしまう。

全体的には悪くない映画だと思うのだが、部分部分のセンスのズレが気になってしまって興を削がれる。
緑雨

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