ベタなお涙頂戴的な作品かと思いきや、割と自然な感じで、最後まで泣かせず次のシーンへ持って行く演出を好感もって鑑賞。
宮沢りえ演じる双葉の愛の表現は、谷から突き落とすライオン母のよう。でも起き上がるまでしっかりと谷の上から見ている。
いじめを受けている安澄に「逃げないで」といって無理にでも学校に行かせるシーンは賛否両論あるようだけど、私は彼女のやり方に賛成。
彼女は、子供の強さを信じている、それは自分の子育てのやり方を信じていることだから。そこがブレると子供にも伝わってしまう。
方針は方針。一度決めたら貫き通すもの。
いつか実の母とコミニュケーションできるように安澄に手話を習わせるあたりも、もし実の母が外国人の母なら母親の言葉を習わせておくだろうと思うし、私は温かい愛、と言うよりごくごく自然に感じた。
「母の愛」というよりは、「人様の子を育てている責任感」なんだと思う。
子育てについていつも思うことは、自分の身体を通って生まれてきた「他人」を、いつか社会にお返しするということ。
それが実の子でもそうでなくても、ある意味人を育てるということはそれくらいの覚悟がないとと思う。
かく言う私も立派な子育てをしているかどうかに関しては自信がない。
でも1つだけ言えることは、私が「子供を育てている」とはおこがましくて言えないということ。
子供は社会によって育てられている。私がやるべき事は、子供が自分の足で立つまでのほんのお手伝いに過ぎないのだと。