あましお

湯を沸かすほどの熱い愛のあましおのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.9
なんてシンプルで強いタイトル!
”余命宣告”、”家族愛”、”困難に立ち向かう”、”生と死”
こう物語の要素だけ並べると、既視感を覚える。
でも新しいなぁと思ったのは、衝撃的なラストシーンのせいなのか、なんだろう、、不思議。
ダメな父親も含め、この家族のファンになった感覚。

もう子供がいてもおかしくない年齢な私だけど、お母ちゃんではなく、どちらかというと残される長女あずみのほうに感情移入しながら見ていた。
母は強し、とよく言うけど、それはよく「●●しなさい!」って怒るとか、健康だとかそういうことではなく、
子供からすると弱音が見えにくい存在なのかなと改めて思った。
安澄(杉咲花)が「あたしは最下層の人間だから、お母ちゃんとは全然違う」というセリフがあるけど、そこまでではなくとも、子供からしたら母親って弱さと離れた存在に映るんだろうな~と。

でも母親って、娘の延長でもある。両親の娘として生まれ、年を重ねて、いまがある。
だから双葉は安澄に「何も変わらないよ、お母ちゃんと安澄は」と言う。
絶賛”娘時代”の安澄には完璧に理解はできなくても、いつか親になったらよりわかる感覚なんだろうなと思う。

双葉がより強い女性に見えたのは、残された人のためにやるべきことをやるという覚悟と責任感のせいかな。
人はいつ死ぬかわからない、と言われても身を持って自分の命の有限さを体感することはほとんどない。
だからこそ毎日、自分の大切な人のためにやってあげるべきことをやる、そうやって生きていけたらいいなと思う。

この映画は本当に、子供を産んでから見たら絶対見方が変わると思うので、
いつかしかるべきタイミングでまた見たいな。
あましお

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