『湯気のように 店主が蒸発してしまったので しばらくお湯は沸きません』
まるで落語家さんが言いそうな内容の貼り紙から始まったこの作品は、死が目の前に迫ってきていながらも、溢れんほどの愛情を家族に注ぎ続けた、とっても強い母のストーリーでした。
一家の大黒柱が蒸発してから、ステージ4の末期ガンを宣告され、残りの人生を家族の『建て直し』に全て捧げた主人公(宮沢りえ)。
キャバ嬢のところへ逃げた旦那を取り返し、いじめられて登校拒否になった娘を強く支え、潰れかけの銭湯を建て直し、人生に迷っている見ず知らずの若者に未来を与えるなど、関わる人みんなを幸せの方向へ向かわせる力のある主人公。
自分も辛い過去があり、身体はすごい速さで病気に蝕まれているのに。
笑顔で、全力で進み続けるその姿は涙なくしては観られませんでした。
本当に本当に美しい母の姿に見えました。
『湯を沸かすほどの熱い愛』
まさにタイトル通りの映画でした。