しんご

湯を沸かすほどの熱い愛のしんごのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.5
日本アカデミー賞において最優秀主演女優賞及び最優秀助演助演賞を授賞し、Filmarksの評価も高い本作だが正直私はあまり好きになれなかったです。

双葉の不遇さがとにかく辛い。与えるだけ与えやっと自分の幸せを掴みかけた所で病に侵される彼女はもっと報われて欲しかった。双葉が安澄や鮎子になぜあそこまで尽くせるかが謎だったけど、後半に回収された伏線でその謎も解明...からの、彼女の幸せを願っていたのに。実母に会いに行くシーンはそんな双葉に対する追い討ちとも言える仕打ち。

そんな双葉の献身も後半からは「そこまでしなくてもいいのでは?」と感じる程に。とことんまで自分をすり減らす彼女は生きている時点からもはや天使地味ているし、そんな浮世離れした双葉を鑑賞に耐えるものにしたのは宮沢りえの熱演による所が大きい。

宮沢りえのみならず、本作は女性陣の演技がストーリーを牽引していたように思う。制服を取り返すために体を張った安澄役の杉咲花、「一生懸命働きます...でも、まだママを好きでもいいですか?」と食卓で涙声で聞く鮎子役の伊東蒼の芝居には涙が溢れた。あと、これは男性ですが一浩役を演じたオダギリ・ジョーは相変わらず演技上手いね。役柄はクズ極まりないのに憎めないし色気がある。

そうした面々でストーリーが展開される中、あのラストはかなり衝撃だったが苦手でした。...あの状況で皆がノスタルジックな雰囲気に浸っているのも何か違和感。

いい映画だとは思うのですが。
しんご

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