Masato

湯を沸かすほどの熱い愛のMasatoのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.0

絶大な高評価ながら、今まで見れてなかった作品。

納得の出来でした。主人公の愛が故な目に余る強引な行動がやや嫌に感じてたけど、自然とその嫌が強い愛に変わって感じてきて、思いも寄らず涙。

松坂桃李のように、先なんて長いから目的なんてない。というのが本質。だれにでも人生の目的は若いうちにみつけられやしない。でも、かのスティーブ・ジョブズが言った。「明日死ぬと思えば、何も恐れるものはなくなり、本当に大切なものが見つかる。」人生は、始まりから終わりまで終活。主人公の生き様を見て感じられた。

主人公の双葉は、死を前にして、生きる人すべてに“湯を沸かすほどの熱い愛“を発し始めた。それが様々な人間を巻き込み、やがてヒトを変えていく。
連れ子や娘を含めて、出会う人々それぞれが、我々のような弱々しいリアルな人間であると思う。それを乗り越えていく様がとても強かった。逞しかった。人を変えられる人間ってのは、こういうことなのか。

がんで亡くなった小林麻央さんを思い出した。日々のブログが母親としての強さを物語っていた。死を持って愛と強さを知るんだよなあ。皮肉だよなあ。

余命系とは言いたくない。死を前にした一人の母親を通して、人間の強さ・逞しさを描いた映画。この映画のように快くいかないこともあると思う。誰もがこんなに強くない。でも、そうであるほうが輝けるということを知れる。

日本人にしか描けない奥ゆかしさを与えてくれる映画。
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