Takaomi

湯を沸かすほどの熱い愛のTakaomiのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.6
余命宣告を受けた母 双葉が、後悔ないよう家族に伝えられなかった思いや今までできなかったことをやり遂げる物語。

人ってどうしても伝えたいことがあっても素直になれなかったり、やりたいことを後まわしにして後悔するときがある。

あのとき伝えておけば、素直になっておけば、やりたいことをやっておけば。

生きているうちに後悔するのは取り返しがつくけれど、もし死んだら、大切な人が死んでしまったらどうするのか。

そんな、当たり前だけど忘れがちな事を教えてくれる映画でした。

まずここ最近の邦画の中で一番配役が素晴らしくピッタリ合ってる。
杉咲花のピュアで大人しい感じやオダギリジョーの責任感のない感じ。
そして宮沢りえの元気なお母さんという感じが性格や容姿にあっていて思わず本人達のドラマのなのかなって思ってしまった。

そして出演者全員が名演技すぎて、それだけでお腹一杯です。

ただ、個人的に日本のヒューマン映画は変化のない静かなところも魅力のひとつだと思うので、変化を付けすぎてる印象を受けた。

ただのお涙頂戴 映画にしたくないのはわかるが、必ずしも展開を作らなきゃいけない訳ではないと思うので、ついていくのに疲れてしまったかな 。

銭湯に関しても、せっかく日本の象徴だし、アカデミー賞を狙っていたのなら尚更この材料を大切にして欲しかった。

地域との繋がりが薄くなっている世の中で、銭湯で繋がるコミュニティを想像するだけでワクワクする。
銭湯で働くやりがいも含めて。

ラストは、これまでにないようなオチ。
これには本当に驚いたんだけど、僕は受け入れられなかった。
これまでの感動はなんだったのかなと冷めてしまったし、 これを見せたいがために銭湯を設定したのなら残念。

個人的にベタで静かな終わり方が好きというのもあるが、日本の良さを良くも悪くも死なせてしまったかな。

それでも血の繋がりがなくても、ここまで素直に伝えたいことを伝えられているので、血の繋がりがある両親にはもっともっと素直にありがとうと伝えられるはずだ。
Takaomi

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