NAOKI

湯を沸かすほどの熱い愛のNAOKIのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.8
♪ミジンコくらいにちいさくなって…あなたの頭の上を探検したい♪

これは竹原ピストルの「アメージング・グレイス」の出だしです。替え歌なんですが「また、バカな歌を…」…と思っていると…
♪こっそりとあなたの生命線を勝手に長く伸ばしてあげたい♪…と続き、
「?」

最後は…

♪ミジンコくらいにちいさくなって…あなたのおなかの中に出陣したい…
たとえ刺し違えようとも
たとえ刺し違えようとも
あなたを蝕むがん細胞をぶっ殺してやりたい♪

…絶叫です…
少し泣きました。

リリー・フランキー氏の絵本
「おでんくん」…

お母さんに食べられて胃の中に入り、ガン細胞のガンノスケと対決したりします。
少し泣きました。

お母さんのモデルは東京タワーのおかんと同じでしょう。
 
命を失う病気は何でも同じでしょうが「がん」はがん細胞という敵が見える分…こうして誰かがやっつけて奇跡が起こるって夢想してしまうことが多いのでしょう。

「湯を沸かすほどの熱い愛」
この映画の宮沢りえは女優生命をかけているのではないか…というくらいの迫力がありました。

「末期がん」と「母」との戦い…

この映画を観たときおれの頭には部下のシュンイチという男が浮かびました。
シュンイチは幼い頃に父親を亡くし母一人子一人の家庭で育った男でした。
…そのシュンイチが前に飲んだとき…
「最近母親がウザいんですよ…前はそんなことなかったのに急におれの生活に色々口出すようになって…」
みたいな話を聞かされたのです。何となくこの映画を観たときにその話を連想してしまったのでした。

「お袋さんは元気してる?」
後日…シュンイチに声をかけました。
「はい、相変わらず元気ですよ」
「シュンイチ…縁起でもない話だけど…お袋さんが病気でお前に隠してるってことはないか?問いただしたりしちゃダメだぞ…お袋さんにばれないように調べてみな…何にもなければいいんだけど…」

シュンイチの母親が亡くなったのはそれから1年ほどしてからでした。
「がん」でした。

ようやく落ち着いた頃、シュンイチはおれに聞きました。
「何で…母親が病気かもしれないって思ったんですか?会ってもないのに…」

「母親が子を思う気持ちっていうのは…湯が沸くほど熱いって言うらしいぜ」
「なんすか?それ?」

「お母ちゃんの遺伝子ちょこっとだけあった」…
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