真田ピロシキ

湯を沸かすほどの熱い愛の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
1.0
エモいシューゲイザーが昨今のマイブームでイギリスのDaughterから始まり日本の大学生バンド羊文学へと流れてここしばらくはきのこ帝国にどっぷり。10年もやってるバンドで青すぎて尖ってたインディーズ時代からメジャーデビュー後の開かれたJPOP路線へと変貌していて本作のテーマ曲はその広がりの象徴。と言われていてこの映画に心打たれるものを期待していたのですが全然ダメでした。感動作らしいですが感動ポイントが全く分からない。

1年前に夫が蒸発して娘と暮らす母がある日余命2ヶ月と判明。正直この時点で危険な雰囲気を感じていたのですが並の難病映画ではなかった。イジメで制服を盗まれた娘に逃げちゃダメだ逃げちゃダメだとEVAのような事を言って学校に行かせるお母様。体操服で教室に入った娘は突然下着姿になって泣き落としに訴え解決。ええっ…?そんな情が通じない程他人の痛みに鈍感だからイジメなんて出来るんじゃないのか。夫には1年前まで自分も知らなかった隠し子がいてその子は母親が自分を迎えには来ない事を思い知って家族の一員になるのだけれど、その時の台詞が「ここにいさせてください」みたいなものなの。涙ながらに。いやおかしいでしょ。千と千尋見て湯婆婆に共感でもしてるの?この子可哀想すぎる。長女にはもう一個大イベントがあってそれもEVA論法で心の準備もさせずに押し進めるお母様。こっちはもうすぐ死ぬと知っているから何とか受け入れられるがそうでなかったら独善的な毒親にしか見えない。好意的に解釈するといつ人生に終わりが来るか分からないから物事を先送りにしないようにしようですかね。それも自分に関する事なら良いがここまで他者を巻き込まれると難しいよ。死ぬのは確実なので悪くは言いにくいのがタチ悪い。脇キャラまで死にまつわる話がドッサリ盛られて私が大嫌いなタイプの死の消費映画。あの人間ピラミッドなんか日本人的な感動精神の賜物で皮肉じゃないならヤバイよ。

きのこ帝国補正をかけてやりたかったですが、あまり好みの曲でもないので補正はかからず。特別スコアの1点未満タグをつけなかったのがせめてもの情け。