あかり

湯を沸かすほどの熱い愛のあかりのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.2
もし、自分が余命宣告された時に果たしてここまで人のために生きれるのか。

ずっと気になっていましたが機会がなく先日やっと鑑賞しました。電車の中で観れるような映画ではなかったです。一つのシーンに対する役者さんたちの演技や感情がぎっしり詰まっていて、あたたかくなったり、切なくなったり、嬉しくなったり。

お母ちゃんを完璧な人間として描くのではなく、自分の感情だけで頬を叩いたり、置物を投げつけたり、弱い部分も併せ持つ、普通の、一人の人間として描かれていることでより親近感を感じてしまいました。
他人に対してあれほどの愛を持って生きることができたら、そりゃ湯も沸かせます。だらしないお父ちゃんも、適当に家を飛び出してきた青年も、幼い娘に嘘をつき続けてきた探偵さんも、いじめに立ち向かえなかった娘も、母親に置いていかれた少女も、生きていこうって思えます。誰一人疎かにすることなくきちんと最後まで描かれていて、この人たちのこれからを想像するのが幸せでした。

よかったシーンはあげたらきりがないのでここでは書きませんが、あゆこが必死に絞り出した『まだお母さんのこと好きでいてもいいですか』には危うく滝のように涙を流すところでした。スケールのちっちゃいお父ちゃんが愛おしくて、なんか許しちゃうのが悔しいですね。
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