EmiDebu

湯を沸かすほどの熱い愛のEmiDebuのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.0
人を動かすほど人と向き合える人、多くの人に慕われた人の死、何もかもが、かつて思い出すと日常生活を送れなくなるため自分で蓋をした記憶に重なる部分があり終始涙が溢れてきた。

邦画らしいお涙頂戴映画といえばほとんどの人にとってはそれまでなのかもしれないけどイカンイカン、あまりに身に染みてしまった。

余命2ヶ月を宣告された母が、その2ヶ月で精一杯色んなことと向き合い、娘たちに生きる道を示す。湯を沸かすほどの熱い愛とは余命2ヶ月の命の灯火が、その後も銭湯を続けさせる火の様に続いていく様子を表している。たぶん。

作品中常に思い起こされたのは、自分を強くしてくれた育ての父のことだった。あれから10年経っても自分の時は止まったままで、多少の成長こそすれ今も自分を動かし続けるのはこの銭湯と同じ、湯を沸かすほどの熱い愛なのかもしれない。

再三語られていることだろうがキャストが光っていた。特に杉咲花さん。今まで特に注意して見ることはなかったが、とてもリアルで等身大のお姉ちゃんだった。もちろん綺麗な女性ではあるんだろうけど、綺麗である以前にキャラクターの人間性などが前面に押し出されていて素晴らしい演技だった。オダギリジョーもオダギリジョーでしかないハマり役。

まとめに入るが、またその記憶の蓋を開けてみようと思った。思い出すことは頻繁で、むしろ思い出さない日はないほどなんだけど、もう一歩踏み込んで例えばあの人の実の子達は元気にしているだろうかとか、たまには電話でもしないとなとか。バカバカしい話なんだけどもし自分が事業を立ち上げたりなんかしらの形でお金に余裕が出来ることがあれば俺があの人の家族を支えたいなとかそんなことをこの10年ずっと考えてる。ありきたりな言葉だけど頑張らないとなと思った。
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