ほのか

顔のないヒトラーたちのほのかのレビュー・感想・評価

顔のないヒトラーたち(2014年製作の映画)
3.9
WW2が終わって数十年後。
アウシュヴィッツで数々の残虐な所業を行ったドイツ人を、
アウシュヴィッツを知らないドイツ人が裁く話。

前にアイヒマンを追え!を観て気になっていたアウシュヴィッツ裁判。これにもフリッツバウアーが出てました。同時進行でしてたってことやん!?ほんまバウアー氏すごいな…。

新米検事ヨハンは、自分の持つ正義を追い求める人。
初めは交通違反以上のものを扱いたいという向上心や興味や知識欲が原動力だったが、真実を知るうちに正義とはなにか、自分が裁くべきものはなにか、そして現実に直面していく。

ドイツ人でなければ裁くことができなかったことでもあるしドイツ人自身が厳しく裁くことに意味があったことだと思った。
あの頃の残虐な出来事を知らなかった人がいたということも、あの頃のドイツの罪だった。

真実を知っても目を背けず、事実と受け入れ、恐れに向き合い、過去を認めたこと。

もしこの裁判が開かれなくて、事実が隠蔽されたままのドイツのままだったら。今こうしてドイツで、この映画だけでなく、WW2の映画が作られることはなかったかもしれない。私達が戦争について知れることも今よりずっと少なかったかもしれない。

被害者が声を上げることももちろん簡単なことではないけども、やはり現代の戦争映画で多いのは攻め込まれた国からみた話のように思う。でも攻め入った側の目から見たものを知ることでみえてくるものもあると思った。そういったら私は日本が戦争で何をされたかは知識として知ってることがいくつかあるけど何をしたかはあまり知らない。そういう自分ではいたくはないなぁ。