ホンのシネマ

顔のないヒトラーたちのホンのシネマのレビュー・感想・評価

顔のないヒトラーたち(2014年製作の映画)
3.3
まさかドイツがアウシュビッツでの出来事を戦後一般市民に隠していたとは知らなかった。
この映画は、まさにその事実を白日のもとにさらそうとしている裁判の準備の話です。
若き検事がたまたまジャーナリストが持ち込んだ、元ナチスの将校が学校の先生をしているという情報をもとに調べ始め、とうとう裁判まで持ち込むという実話をもとにした話。
アウシュビッツは、昔子供のころに、おじいちゃんの家のテレビ台に写真集があって、怖いもの見たさで見たことがあり、どれだけ恐ろしいことが行われていたのか知っていたのだけれど、子供に行なった実験の話など、はじめて知る聞くに堪えない話が映画の中で出てきた。
(今思えば、戦争に行ったおじいちゃんがこういった写真集を持っていたのはどういう気持だったんだろう?あまり多くを語る事のなかったおじいちゃん。今だったらいろんな事を聞きたいのに)
映画の中では、決して残酷な場面の描写があるわけではない。
アウシュビッツの生き残りの人々が証言している場面は出てくるが、そこまで詳しく語られているわけでもなく、でも、全体として悲しくなるのはどうしてだろう?
はじめて聞くこの現実を受け止めきれず、思わず泣き崩れる事務のおばさんや、明らかに雰囲気の変わる検事メンバーの様子で、とても恐ろしい事実を知らされたんだということが分かり、より映画に深みを与えていた。
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