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新しき民のMinCのレビュー・感想・評価

新しき民(2014年製作の映画)
3.5
ラストにきてようやく、始めにずっとみていたギークギークと回る装置が回り舞台を奈落から映していたと気付いた。
そして私の頭のなかもギークギークと回りはじめた。

岡山で実際にあった百姓一揆をもとにつくられた現代のモノクロ時代劇。現代の時代劇って変な言葉だけど、時代劇の体でありながらどうしても<現代>を意識せずにはいられない。

フリージャズだったりタブラ?シタール?インド音楽風だったり、モノクロの画だが音付けは色彩豊か。

農民の蜂起を扱った社会派なテーマかと思いきや、闘いたくないあまり顔変えてまで逃げる主人公をはじめ川瀬さん演じる中間管理職的お侍のいたたまれなさ、気丈に生き抜く女たちなど登場人物の生き様みたいなところに力点が置かれているようにも思えた。突如挿入されるアニメ部分はかなり個人的な心象風景かと。

監督はふだん農業をしながら農閑期に映画を制作しているとか。<現代>を強く感じるのは監督の日常のコミュニティが色濃く反映された作品だからかな。監督自身が<新しき民>なんじゃないかな。
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