真一

バンクシー・ダズ・ニューヨークの真一のレビュー・感想・評価

3.5
 ニューヨーク🗽で起きたバンクシー騒動🐭を取り上げたドキュメンタリー🎥。資本主義💸と権威主義🏰にドップリ浸った私たちをこれでもかとおちょったバンクシー👤、さすがです。再掲

 資本家💰️による労働者搾取🛠️を連想させるオブジェ「瓦礫のスフィンクス」を、裕福な画廊💰️がすっ飛んできて高値で買い取るシーンは強烈だった。資本主義の本質を辛辣に批判したこの作品でさえ、その資本主義💸によって付加価値がつけられ消費されてしまう現実を、思い知らされた。

 極めつけは、「悪の陳腐さ(凡庸な悪)」と題したグラフィティがもてはやされる場面だ。哲学者ハンナ・アーレント👤が世に示したこの言葉は、いじめや差別に見て見ぬふりしながら生きる「平凡な市民」の凡庸な悪💣️によって、ホロコースト☠️などの国家犯罪はもたらされるという趣旨。私たち市民を末端のナチス党員に見立てたこのグラフィティも、商品💴として愛でられてしまう。

 バンクシーに狂奔する人々👥から滲み出るのは、作品を転売すれば大金が入るという金銭的欲望💵に加え、「みんながバンクシーを素晴らしいというんだから素晴らしいんだ」と決め込む権威主義🏯だ。

 バンクシーに雇われた老人が本物の作品を露店で売るシーンは、印象的だった。「どうせ偽物だろう」と考え、買おうとしない通行人たち。権威主義者は、自分の目👁️で判断できないのだ。みんなが注目する壁の落書きを見ると「本物だ!」と叫んで大金💴を積むくせに。

 もっともバンクシーは、こうした騒動を折り込んでいたと思う。高度資本主義の象徴とも言えるニューヨーク🗽で騒ぎをおこすこと自体が、バンクシーの狙いだったのではないか。バンクシーの作品を奪ったり、高値で売ったり、消そうとしたり、逆に保護しようとしたりする人々一人一人を、アート🎨の一部とみているのではないか。恐るべき想像力と計算力の持ち主だ。

 映画🎥としての面白さは大して感じなかったが、バンクシーブーム🎆のとてつもない盛り上がりを知れたのは、良かったです。
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