TaiRa

シャザム!のTaiRaのレビュー・感想・評価

シャザム!(2019年製作の映画)
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テコ入れが成功したDCの新しい傑作。ジェームズ・ワン一派の功績たるや。

スーパーヒーロー版『ビッグ』なファミリー向け路線なのに、ところどころ悪趣味な残酷描写があって80年代のジョー・ダンテとか思い出す。孤児の少年が母親を探し求める小さな物語にスーパーヒーローになって世界を救うという大きな物語を組み込む構成。冒頭に「選ばれなかった」者のドラマを持って来るのも、その後の主人公のドラマを描く上で効いて来る。家族に否定され続け家族を捨てた悪役と、実の家族に否定された事で新しい家族を獲得する主人公の対比。子供にとって世界は家族の事であり、家族を救う事は世界を救う事と直結する。子供がヒーローになるという設定を活かした展開。ヒーローとは超人的な能力の持ち主ではなく、人々を助ける為に立ち上がる者だという事をちゃんと描いている。トラのぬいぐるみを少女に渡した時、主人公は本当のヒーローになっている。またクライマックスにおけるある展開で「彼」の足が地面から浮いた時の感動も素晴らしい。「空を飛ぶ能力と透明になる能力どっちがいい?」の問いを回収する事の意味。前半の能力を持った子供が調子に乗り続ける描写も、過剰に葛藤しがちな昨今のヒーローものと一線を画す感じで楽しい。
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