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シャザム!のmのレビュー・感想・評価

シャザム!(2019年製作の映画)
4.8
YouTubeで自分の妻を主演にした自主制作のホラー短編を公開してたのをジェームズ・ワンに発掘されて、「ライト/オフ」で商業デビューしたデイビッド・F・サンドバーグ監督がワンさんに続いてDC参戦。

親のいない子供達の心のドラマを時に繊細に、時にコミカルに、そして時にダイナミックに巧みに描いていく演出・脚本が素晴らしい!正直ここまでドラマが丁寧だとは思ってもいなかったので嬉しい感動があった。

個性豊かな子供達のキャラクター、そして里親の2人が皆チャーミングで良い!どいつもこいつも皆いわゆる『良い子』ではないのに、そのワルさやズルさやダメさがとても良い。「ライト/オフ」でも「アナベル」でも発揮されていた、あっという間に登場人物達の人間性を観客に伝えて感情移入させる監督の人物描写の巧さが今回も光る。
子供達を演じる子役達がまた皆上手くてチャーミング。


残念な所も少しあって、大人になったシャザムを演じるザカリー・リーヴァイの演技が実際の子供の主人公に比してやや幼すぎると感じた。それだけ子供達の心の陰影が豊かに描かれていたから、というのもあるだろうけど。
悪役の心への慈悲の無さも、まぁあれだけ人殺してるから仕方ないとも思うが、冒頭であれだけしっかり描いているだけにもう少し彼のドラマにも良い帰結があればなと無い物ねだりをしてしまう。


明らかに「ビッグ」を意識した作りなのだけど、『えぇそうですよ、あなた方がそう思ってるのは分かってます!』とばかりに堂々と例のピアノのシーンをパロディしてる感じもまたチャーミング。


ホラーで鳴らした腕がついつい鳴ってしまうのか、時折入り込んでくるガチめのホラー演出に監督の性を感じて微笑ましい。

個人的に勝手に一番気にしてたのが自主映画の頃から「ライト/オフ」「アナベル」までずっとサンドバーグ監督作品に出演してきた監督の妻が今回も出てるのかどうかという事で、勿論バッチリ出演してたのだけど今回は監督の凶悪ホラー演出を一身に浴びるある意味オイシイ役で、変わらぬ夫婦愛を感じて嬉しい限り。


愉快痛快なエンディングは爆笑すると同時に何だか泣ける。それだけ子供達の心の傷の回復と成長の軌道に観客が寄り添えたからだろう。ラストカットの切り方の美学には「スパイダーマン ホームカミング」に通じるものがあった。
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