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偽れる装いのpikaのレビュー・感想・評価

偽れる装い(1945年製作の映画)
4.5
すげー映画!
前半は主人公のデザイナーとしての潔いまでの姿勢と、女癖の悪さを奔放な軽やかさで帳消しにしてしまう魅力を中心に、随所に挟まれる主人公のユニークなキャラクター性を味わいながらグイグイとテンポよく楽しんでいくのだけれども、段々とオオカミ少年よろしく「真実の愛に今更目覚めました」と言われても「知らねーよ!」とイライライライラしてブチ切れそうになる中盤、卓球試合の緊迫感から一気に表面の軽やかさとは裏腹に「こういう人」というレッテルめいた思い込みを壊さんばかりに迷い、決意し、文字通り全てを賭けて愛を貫こうという姿勢にガクガクと感情を揺さぶられ、次に誰がどんな反応をするのだろうかという映画体験の醍醐味を堪能する。


ファッションデザイナーにマネキンというアイコンで魅せ、ショーをクライマックスに鬱屈とした展開を華やかに彩った雰囲気が素晴らしく、表情を満遍なく捉え表面的な感情を、展開で奥底の情熱を表現する差異に「あー、そうだったのかぁ!」などとドラマに没頭させ、冒頭のシーンによって結末がわかってるからこそ逆に「どう行き着くのか」という緊張感が持続する。
フランス人は愛と死を天秤にかけられるからこそ情熱的で人間臭く、ドラマに説得力があるので恋愛ドラマはなかなかに味わい深い面白さ。
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